ランチで情報交換
ランチで情報交換する。
どこにでもある普通のことだけど、もし組織的に行われたらどうなるのだろう?
うちの会社は設立からまだ1年半だけど、従業員は10名強になり、徐々に、そして今ではすっかりドイツの会社らしくなってきた。
最近の傾向だけど、女性社員5人はだいたいみんなそろって会社の会議室でランチをしている。
もちろん、日本のように弁当屋さんがあるわけではないから、会社内で食べようと思ったら、家から持ってくるかあるいは外でサンドイッチを買ってくるかだ。家から持ってこなかった人が外で食べ物を買って帰ってくるのを待って、定例『昼食会』は始まる。
会社は繁華街にあり、外に食べる場所はいくらでもあるのだが、なぜか中がいいらしい。広い会議室が角部屋にあり、ベルリン市街や広大な公園が眼下遠くまで見渡せるのも気持ちがいいのだろう。
さて、ここまでで、何が起きているのか想像できると思う。
そう、ドイツでも女性ランチは、格好の情報交換の場なのだ (・_・)
最近、(もちろん自分で参加はせずに)ランチ会話内容を注意して探ってみたところ、女性らしく!?ありとあらゆる内容が話題に上っているみたい。もちろん、買い物やファッションや異性の話も出る。でもこの規模の会社だと、まさしく社員全員一人一人の行動に関する情報が飛び交っているのだ。
会社は小さくても中に4つくらいのチームがあるし、それぞれの業務が全く異なる。バックグラウンドや専門や国籍の違う人が集まっているので、チームワーク的な共同作業は簡単ではない。
例えば、Aチームは4人なのだが、その中で女性は一人だけ。そのAチームで起きていることやさまざまな業務上の問題点などを、BチームのXさん(女性)とCチームのYさん(女性)は常に、しかも相当に正確に把握している。中にはAチームのリーダー(男性)も知らないことまで、実に良く知っているので、もう、感心してしまうしかない。
でも、逆に言うと、情報が集まるべき場所(チームリーダー)に情報が集まらず、それ以外の人が情報共有しているということは、会社として最適な決定ができる流れになっていないということだから、これは笑い事ではない (´`;)
女性ランチでの話題は、単なる噂話だけではなく(それもあるようだが)、もっと仕事の本質に関わるようなものが多いようだ。しかも女性陣はランチでの会話を通して、その話題に対する見解までも統一させる傾向が見られる。つまり、〝世論〟みたいのが形成されて、それが俺にも漏れ伝わってくることが時折あるってわけ。
男性と女性、日本人とドイツ人というメンタリティーやコミュニケーションスタイルの違いは、どれだけ一緒に仕事してきても、やはり大きい。
向かい合わせの机で同じ業務の仕事を一緒に行い、仲も良くていつもいろんな話をしているように見える場合でも、日本人とドイツ人では本当の深い意味で意思が通じていないことが多い。でも、ドイツ人同士はかなり離れた別の部屋に座っていても逐次互いの状況を細かいことまで把握しているのだ。しかも、極めて短時間で情報が伝わっている。まるでテレパシーのようだと思うことすらある。
会社内に英語のできない人はいないけど、日常会話は英語ではないから、ドイツ語がわかって聞き耳を立てていないと、こういう草の根の意見まではつかめないし、言葉がわかれば十分というものでもない。経営者にとっては、草の根意見(〝世論〟)は把握していないと足元をすくわれる反面、流されてしまうと会社として成り立たなくなるから、時には断固とした決断が必要になる。
経営に慣れている人なら、バランス感覚を働かせて采配できるのは当然なんだろうけどね。。。
まあ、頑張りま~す!
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コメント
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お~、興味深いレポートだね。こちらも感心したよ。ではでは
投稿: D | 2007年10月25日 (木) 09時50分