ラジオで聴く各国の今
ハイデルベルクへ赴任し、人生で初めて毎日車に乗るような生活になってから、ラジオを聴くことがぐんと増えた。
そもそも今の時代、車の中じゃないとラジオなんてなかなか聴かないものかもしれない。実際、ラジオの放送局側もそう思っている節がある。ラジオはローカル局がほとんどであり、交通情報は20分~30分置きに必ず流れるからだ。
ドイツのラジオ局はたくさんあるが、放送内容はどれも非常に似通っている。英米のポップソングを流し(ただし4曲に1曲くらいは、ドイツ語のソング)、フラッシュニュースと天気予報と交通情報を間に混ぜるだけであるからだ。
正直あまり面白いものではないが、ラジオ局はリスナーの声に沿って番組編成しているに違いないから、ドイツ人は車を運転している間に難しい話など聞きたくない人が多いに違いない。
高速道路をちょっと走り別の地方に入ると、またその地方ローカルのラジオ局が入ってくる。しか~し・・・交通情報の焦点の当て方とニュースの内容が若干違うだけで、あとは全くと言っていいほど同じだ。
俺のお気に入りのラジオ局はRadio Regenbogen(”虹”の意味)。バーデンバーデンのラジオ局だ。「80年代、90年代、そして今のベストヒット!」 を謳うだけあって、ボンジョヴィやビリージョエルなど青年時代の!?よく知られている名曲ロックが多い。先日日本から出張に来た同僚も、「このラジオ、ずいぶん懐かしい局のオンパレードだねえ」と言っていたよ
でも新曲もちゃんと混じっているので、違和感なく「覚えられる」。放送内容は実に大したことがないけれど、何度も同じ歌を聴いていると慣れてきて耳に心地よくなってくるから、通勤にはちょうどいい。
ドイツのラジオで面白いのは、「Blitzerservice」(監視カメラサービス)というのを標榜していることだ。ドイツではスピード違反のカメラは固定式と移動式があり、移動式カメラが現在どこに置かれているかをリスナーからの投稿で「速報」する。
「今、A通りのxxxトンネル附近、右斜線側から撮影していますのでお気をつけて!」
なんという警察泣かせのラジオだろうねえ。
ところが、ライン川を渡ってフランスに入るとラジオ局の様相はかなり異なってくる。
フランスのラジオで流れる曲はシャンソンが8割程度であり、英米のヒットは2割くらいに過ぎない。
でも一番大きい違いは、フランスのラジオは「うんちく」がとても長いことだ。
音楽を流すにしても、ドイツのようにただ次々と流すだけではない。シャンソン歌手や解説者をスタジオに呼び、曲の背景や最近の活動をインタビューしたりする。その上で1曲流す。しゃべっている時間のほうが、圧倒的に長いのだ。
音楽だけではなく、映画のレビューなどもラジオで多くやっている。最近出た映画の監督や出演者が対話形式で語る内容から、社会情勢が見えてくるという点はいいのであるが、そもそもその(フランス)映画を見たこともないので、いまいち状況が頭に思い浮かばない。
さらに、カーナビをつけていると「あと300mで、右方向、続いてすぐ左方向です」などと中断がたびたび入り、ますますストーリーが読めなくなる。
俺が好きな France Bleu Alsace というアルザスの代表的なラジオ局では、リスナー同士の中古物品の売り買いを仲介している。
「私はコルマールに住んでいるんですが、椅子3脚と机を売りたいと思っています。」
などというものだ。司会者の質問に答える形で、どんな形状の何をなぜ売りたいか、ちゃんと理由を説明し、「だいたい60ユーロで」とか「値段は話し合いで」などと結ぶ。そして、連絡先の電話番号を伝えるわけだ。これが、かなり延々と続く。中には、亀と水槽を売りたいという人もいた :-)
物だけではなく、「明日はSaverneで地元のパーティーがあるから、来ませんか!」
などというものもある。アルザスのラジオは、ドイツのものよりもずっと地元密着型なのだ。
川1本挟んだだけで、なんたる民族性の違いだろう。これだから欧州は奥が深い。
さて来週は何を売るんだろうか~
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