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放射線ビジネス

福島の放射線放出が続いている現在、何でもビジネスのネタにしようという逞しきコンサルタントが売り込んでいるもの、それが”放射線コンサルティング”だ。

リーマン危機以来、会計コンサルからビジネスコンサル、人材コンサル、不動産コンサルに至るまで、ちまたに溢れ返っていたコンサルタント会社の多くは一気に食い扶持が減り、残った会社も人減らしで何とか生き延びる縮小均衡状況になっていた。これは欧州でも日本でもほとんど同じ傾向であった。

今回の震災と福島原発で日本はさらに需要が冷え込んで競争激化は避けられないが、一条の光が見えるとすれば、それこそが放射線ビジネスだ。

道義的には異論もあるだろうが、界隈に飯のネタが少ない中で彼らが非常に積極的に動いているという情報は、ビジネスを通じて多く入ってきている。

各国政府は日本からの輸入製品に関して税関で放射線検査をし、場合によっては証明書を出すよう要求してきており、また、海外の輸入業者や顧客からも検査や証明書の要請は強い。

航空便については、日本で荷を積む前に放射線検査を義務付けるような要請もあり、航空会社にフランスなど一部国から通達が出ている。対応は国や場合によってまちまちで、かつ目まぐるしく変わる。

日本は輸出大国であり、輸出企業にとってこれらのタイムリーな情報把握や書類・検査対応は不可欠だ。突如として、コンサル業界に一大マーケットが誕生したと言っていい。

欧州でも、日系取引が多いフォーワーダーにはコンサルが食らいついて、いろいろ提案している模様。業者さんにとってはえらい出費や手間が増えて大迷惑だけど、日本からの輸入品対応の特別扱いはもはや国際スタンダードなので、背に腹は代えられないのだろう。

ドイツ随一の港湾であるハンブルク税関は先週、日本からの船便輸入貨物に対する放射線検査基準を発表した。これによると、ランダム検査で放射性ヨウ素が1平方センチ当たり4ベクレルを超えると陸揚げ禁止措置となる。

欧州は原子爆弾所有国もあり原発推進国も多く、世界でもっとも放射線被害にうるさい場所では決してない。

それでも、3月21日~23日の東京で降った雨に含まれていた放射性ヨウ素が1平方センチ当たり3.2~3.6ベクレルであったという公式データを考えると、福島から250キロ離れた東京で貨物が雨に濡れただけでドイツでは陸揚げ禁止になるリスクがあるということになる。

この事態をどう捉えるかは人次第だけど、直接・間接いろいろな意味で、東京エリアの放射能汚染がかなり進行していることは間違いない。

ちなみに、欧州連合EU内(正確にはシェンゲン協定国間)は国境・通貨の壁もほぼなくなり、少なくとも経済的には統合されたように見えるけれども、放射線検査などの面では今のところ完全に各国政府のバラバラな対応に委ねられているようだ。関税基準や食品添加物などの輸入禁止基準は一律に定められているのに、これは興味深い。

欧州では、財政・経済の全ての分野において、まずは各国政府がバラバラな対応をし、何年も何十年も議論を重ねてようやく一本化していくという方法が取られてきたが、今回もきっとそうなってしまうのだろう。今のEUは外的な大きな危機に対応できる体制にはとてもなっていないことがまたもや露呈してしまったようである。

きっと、いや間違いなく、コンサルタントは今回の件で、EU当局や各国当局にも食い込んでいるはず。EUの首都ブリュッセルの周りに群れを成す何百というコンサル業者が馳せ参じ、競って提案を持ちかけるのだろう。欧州市民の経済負担は、また増えていく・・・

これが、現代のコンプラ社会における原発事故の”間接コスト”にはこのようなものまであるという、あまり愉快ではない事実である。

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