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子育てに1年間専業した営業マン

先般、営業社員の面接をしている中で、なかなか気骨のある候補者に出会った。ドイツ人男性で36歳、離婚経験者である。

計5社程度の転職歴があり、それぞれの会社で担当エリアの売り上げを50%~80%伸ばしてきたなどの点は、やり手ではあるけど、まあ特別なことでもない。

履歴書で目を引いたのは、”息子のケアと準備のため”、丸1年間キャリアを中断したと書かれていた部分であった。

通り一遍の会社説明や自己紹介を終えた後、俺はすかさずその気になる部分を質問してみた。

「息子のためにキャリア中断とあるけど、差し支えなければ、どのような経緯か教えていただけますか?」

「実はそのとき、前の妻と離婚したのです。その後息子が学校でいろいろと問題を起こしました。そこで私は思い切って仕事を辞め、息子の世話に専念することにしました。」

両親が離婚すると、子供にトラウマなどいろいろと心理的に負担がかかるというし、実際にそのような例を見てきたけれど、彼の場合も同様だったのだろう。

しかも彼は別な女性と同居を始め、お互いに自分の子供を”連れ子”で連れてきた。ドイツでは非常によくあるパターンであるが、子供にとっては生活環境が激変してしまうことになる。

いろいろ問題を抱える息子を見た彼は、現職を辞めてでも子育てに専念することを決めた。学校へは毎日一緒へ行き、自転車に毎日一緒に乗ってあげるなど、徹底的にケアしてあげた。

そうしたらある日その息子が、「パパありがとう。でも、パパは働かないとね!」 っと言ってくれた。この優しい言葉を聞いた彼は、子供の精神状態が改善したと判断し、次の仕事を探してまたバリバリの営業マンに戻っていたという。

営業スキル・製品知識・顧客へのコネクションなど面接の中心となる話題に関係なさそうな、こういう側面にこそ、本人の人間性がよく表れる。

会社員、しかも営業マンのようなバリバリの仕事をする人(男性)は、キャリアを1年間もあえて中断して子供の世話に集中するようなことは少ない

欧州では若い男性でも週4日勤務をあえて選択したり、数週間の育児休暇を取ったりすることはあるし、不景気時に1年間くらい失業して仕事探しをする人も多い。

でも、人並み以上のキャリアがある男性が突然1年間も子育てに集中するという例は、俺は聞いたことがなかった。

このような決定をする、ないしできるということは、すごいことだと思う。社会通念に捕らわれず、自分を取り巻く客観的な状況を見極めて取れるリスクを取り、行動しただけなんだけど、現代社会でこれがきちんとできている人はあまりに少ないからだ。

この候補者、我々の想定よりもハイスペックすぎて残念ながら採用にはならなかったけれど、意思の強さと優しさを兼ね備えた表情がとても印象に残った人物であった。

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