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ドイツの脱原発スケジュール

ドイツ政府が、全国16基の原発停止スケジュールを確定させた。

これによれば、現在暫定停止中(正確には、電力網への接続を切断しているだけ)の旧型原発7基と点検中の1基は完全停止になり、もはや電力を作ることはない。

残りの9基についても順次停止し、11年後の2022年には全ての原発の火が消えるというものだ。

即時停止の旧型原発のうち1基を、冬場の電力需要期のバックアップ用に、ずっと稼動したまま接続せずスタンバイしておくという微妙な部分もあり、識者から批判を受けているようだが、まあこれは各論。

全原発の4割を即時に停止し、残りをたった11年で全廃するというのだから、本当にすごく勇気ある決断をしたものだ。

そのための代替エネルギーの確保が11年で追いつくか!?という査定を2018年に行うこともスケジュールに入っている。もともとドイツはクリーンエネルギーの推進ではトップクラスに入っている国なので、几帳面なドイツ人らしく計画をきちんと立てて厳密に実行していけば、きっと達成できることと思われる。

前にも書いたけれど、ドイツ人の素晴らしいところのひとつは、悪いところを隠したり変に誰かに遠慮したりせず、正々堂々と議論を展開できるところである。そこでどれだけ喧々諤々があっても、そこで一旦決まったことは淡々と実行に移されていく。とってもまっすぐな人たちだ。

福島原発の現状がいかに悲惨であるかをこれだけ報道されても、もし原発を全部廃止した、電気料金が跳ね上がって大変だという議論は、どこの国でも展開されている。ドイツの場合は、ある識者によれば、20%アップであるという。

もちろん影響は、個人の家計の電気代が20%上がるというだけではない。工業製品やサービスなど、電気を使うありとあらゆるものの値段が上がるということを覚悟しなくてはならない。

20%という数字をどう見るかはその人次第だ。でも俺は個人的には、そんな程度の軽い我慢で、原発という未熟技術を放置して、このまま環境異変(climate change)激発の時代に突っ込んでいった場合の時限爆弾を解体処理できるなら、社会的にも非常に安い対価であると思う。

環境問題とはすなわちカネの問題であり、カネの問題とは突き詰めれば人々の心の問題である。

どの国でも、相当に節電はできるはずだし、大量消費のライフスタイルも変えられるし、クリーンエネルギーの技術だっていろいろある。ただ、それは「今」高くつくからやりたくない、「今」の生活習慣を変えたくない、「今」忙しいからあまり考えたくない、というだけなのだ。

ドイツでは、欧州からはるか遠いところで起こった福島原発の事故が連日報道され、原発の代償が途方もなく大きいことが社会的に認知された。その結果(=修正された認識)を正面から受けとめて、みんなできちんと議論して、それなら方向転換して全廃しましょう、そのための社会的コストは受け入れましょう、という結論になったわけだ。

今までがどうであれ、新たな事実が出たら、臆面なくちゃんと軌道修正して、正しい結論に至れる。本当に大人ですがすがしい人たちだ。

しかし欧州全体となると、こうはうまくいきそうもない。

現在EUでは全140基の原発の一斉検査をやると決めた。しかし、現場検査はなく書類およびパソコン上の検査だけであり、廃止基準も各国政府次第という骨抜きの内容で、たいした実効力はないと思われている。

いまや大所帯のEUにはフランスなど中央集権的な原発大国もあり、考え方がいつも対立するので、もともと非常に効率の悪い組織になっている。ドイツが原発全廃するという中で、隣のオランダではドイツ国境からすぐの場所に新たな原発を作ろうとしており、足並みは全然整っていない。

環境問題のような横断・普遍的な項目だけでも、自国のエゴ丸出しで外交駆け引きするという旧然たるスタイルから脱却できないと、EUの将来は暗いものになるだろう。

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