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台北の赤ちゃん環境

10回以上は行って慣れているはずの台北だけれども、赤ちゃんと一緒に日々を過ごすとまた別の視点から物事が見えてくる。

台北は人口260万人程度の都市(郊外含めると600万人)であり、大都会ではあるが東京・パリ・ロンドンなどと比べると小さいし、混雑具合もそれほどすごくはない。それでも、赤ちゃんが過ごす環境としては決していいとは思えない

赤ちゃんは一日に何度もミルクを飲み、何度も寝て、何度もおむつの交換が必要である。生後4-5ヶ月という年頃はある程度日常のリズムが確立する時期であり、起床と就寝はほぼ定時になってくる。うちの娘は朝は7時半~8時に起きて、夜は8時前に眠ってしまう。午前中は布団の上などで寝返り練習などある程度運動もさせたいし、湿度の高いアジアでは少なくとも1日おきには入浴もさせる。

うちらが泊まっている場所はお姉さん宅で、新店と言って台北の南の近郊住宅地の高層アパート(13階)だ。赤ちゃんのリズムに合わせて外出しようとすると、いろいろやっていると午後になってしまう

他にもお姉さんの子供がいるので、いろいろ手間を考えると外出手段は自家用車しかない。エレベーターで地下の駐車場に下り、子供たちを車に乗せて30-40分ほど走り台北中心部に到着。そこのデパートか何かの地下駐車場に停車し、ベビーカーを引っ張り出して組み立て、あとはデパート内の売り場やレストラン街で時間を過ごし、また車で移動する。

おわかりだろうか。“お出かけ”しているにも関わらず、赤ちゃんが全く外気に触れていないのだ! デパート内は人工の照明がともり、人工の換気がされており、窓すらないのが一般的。あとは地下駐車場と車の中だけ。赤ちゃんだからどうせ何もわからないだろうというのは間違いで、これを長期続けたら、心身ともに健康な子供が育つかどうか不安が残る

子供には自然に多く触れさせるのがよいと聞くし、俺も自分の経験からもそうさせたいと思っている。Aちゃんのお姉さんの息子も、車で30分程度かかるが広大な敷地で緑がいっぱいの山の麓の学校までわざわざ通わせている(台北は三方を山に囲まれているので、それは可能だ)。

しかしそういった融通が利くのはある程度の年になってからであり、3才くらいまでは親が日常のほぼ全ての面倒を見るしかない。その中で台北のような場所で生活をしていると、子供が自然に触れる機会はほぼゼロになってしまう

ハイデルベルクでは家を一歩出ると歩行者専用の遊歩道であり、車の排気ガスもなく、両面に迫る山を見ながらおいしい空気をたっぷり味わいながら外を散歩させていたのであるが、台北では残念ながらできない。

食事も若干問題である。台湾では最近ビタミン剤にプラスチックが入っていたことで大騒ぎになっており、また「高級品」であった日本製の粉ミルクからは放射能が検出され、食の安全はぐらついている。

その中でベビーフードは欧州製が売れているが、うちの娘に与えているドイツ製のブランドは売っていない。赤ちゃんは敏感なのでベビーフードを頻繁に換えるわけにはいかない。これがわかっていたので前もってドイツ製ミルクをお姉さん宅に送っておいたのだが、このようにいろいろ気を使わなくてはならない。

Aちゃんと娘はもうすぐ台湾中部の田舎へ移動することになっている。もっと本当の外には出れるだろうが、歩道も線一本だけできちんとしていない所で車に注意しながらベビーカーを押さねばならないし、歩道の段差もすごい

2月に俺も行くので、そのときにまた思ったことを書いてみたい。

草食系思考の海外戦略

野村證券の唯一の外国人エグゼキュティブが突然辞任するというニュースがあった。ホールセール担当の55才のインド系。理由は自分の部署で巨額損失を出し、グループ全体も傾いている中で、全社のリストラのやり方について日本人の他の経営陣と対立したかららしい。

これは野村證券の海外戦略が失敗した(=終わった)象徴のような出来事である。そして、野村の失敗は、日系企業の海外戦略の失敗のお手本みたいなものだ。

野村は「はかない夢を見た」。2008年のリーマンショックのさなかに、米国の人員を倍増し、欧州とアジアのリーマン・ブラザーズの組織を買収した。競合のほとんどが事業縮小に動いているときに、「逆張り」で勝負に出た。野村は、「投資銀行業務を劇的に拡大しグローバルプレーヤーになるために、経験あるできる人材が大量に流出している今が絶好のタイミング」と宣伝した。何とも得意げだったのを覚えている。夢は3年で終わった。

野村のリーマン買収を当時ニュースで見たときには、目が点になり言葉を失ったのを覚えている。こんな馬鹿な決断がマジで信じられなかったし、120%失敗すると思った。当時国内外の報道では半信半疑のコメントが多かったが、「絶対に失敗する」と断言したものはなかったように記憶している。

野村の海外戦略はなぜ失敗したのか? 高コスト構造を先に抱え込んでおいて景気が悪化し、投資銀行部門全体が世界中で縮小し日本本体の利益も縮小する中で、海外の固定コストに耐えられなかったためである。

こう聞くと、「予想外の景気悪化が原因」と思ってしまうが、それは表面的な理由である。それだけでは、俺が「120%失敗する」と最初から確信できた理由にならない。未来の景気の推移など俺にわかるわけがないからだ。

俺から見ると、失敗の深層の理由は明らかである。草食系の経営組織で肉食系の土壌で勝負したから負けたのである。どうもうな犬の集団のボスが猫で務まるわけはない。勝負する前から負けを「直感できない」のが、残念ながら、日本人の頭脳で思考する組織なのだ。

野村はこう考えた。「グローバルに戦うには、グローバルな人材が必要。それが今、手に入る。資金もある。だから思い切って彼らを取り込めば、勝てるはず」。

このまっとうそうな考えのどこが間違っているのだろう? 投資銀行業務は海千山千の、極論すると騙し合いの世界、つまり肉食系の代表のようなものである。競合のトッププレーヤーはつわものばかりで、だからこそ欧米人やインド人が主流。彼らをアメとムチでうまく操って利益という結果を出すには、彼ら以上に長けて利口で狡賢い経営が必要なのだ。

日本企業は、経営だけはそのままでスタッフを国際化すれば勝てると思っている。しかし真実は逆であり、スタッフが日本人ばかりでも経営(=トップ)が国際化すれば勝てる、正確には少なくとも勝てる可能性が出るのだと思う。日産自動車がいい例だ。

野村は経営が日本的、つまり草食系なままで世界中で外人をいっぱい採用し、国際化にチャレンジした。本社では遅く合議的な意思決定システムを温存し、「大半が日本人取締役の組織に選択的・段階的に少し外人を入れる」という典型的な方式で、危機が起こると反対した外人をまた締め出し、最後は日本人オンリーの組織に戻って行った。まるで教科書のような失敗例だ。

日本人の組織で「経営の精神面の国際化」を図ることは、非常に困難であると思う。でも、それは必須ではない。自分の精神性を曲げようとしてまで無理をするのはなく、「自然体」でもフィットして勝てそうな事業対象や市場に絞って地道に稼げばいいのにと思うんだけどなあ。

赤ちゃんと飛行機に乗る

新年、あけましておめでとうございます!

クリスマスから新年までを家族で台北で過ごした。うちの娘にとっては初めての飛行機、そして初めての台湾渡航である。Aちゃんと娘はあと1ヵ月半程度台湾で過ごす予定でまた迎えに行く予定なので、俺はとりあえず一人でドイツへ戻ってきたというわけだ。

赤ちゃんを連れて旅行するというのはもともと結構大変なことであるが、飛行機に乗せて移動するとなるとさらにグレードはアップする

衣服類はもちろん、どの哺乳瓶を持っていくのか、おもちゃ・タオル・おむつなど、とにかく荷物が多い。今回は荷物をまとめるだけで2日間もかかってしまった。自分たちと赤ちゃん分を含めて70キロ以内の荷物重量(ベビーカーの重量はカウントされない)に抑えることも、容易ではない。

悩んだのはベビーカーだ。台湾では日本と同じく、片手で畳めるような小型のベビーカーが一般的であるが、うちにはそのようなベビーカーはない。また、小型ベビーカーは安定性が悪くて転倒のリスクがあり、赤ちゃんがフラットに寝ることもできない

そこで車輪の直径が30センチもあるかなり大型のベビーカーを持参した。車輪を外さないと車にも積めないような大きさ(!)であるが、まるで戦艦のように頑丈で、買い物しても荷物をたくさん積み込める。

あまりにすごい量の荷物なので車に全部積み込めるか心配であったが、30分奮闘の上でなんとか完了し、いざ出発!

赤ちゃんは機内で自分の座席はない。しかし搭乗は有料であり、フランクフルト⇒台北往復で350ユーロ(=35,000円)かかる。座席こそないのだが、赤ちゃん用のカゴを壁に設置してもらうことは可能である。しかし生後4ヶ月半のうちの娘でも結構手狭であったから、台湾からの復路を最後にもう使えることはないだろう。

機内では思いのほかご機嫌で、あやすと良く笑い、大声で泣くことは数回しかなかった(さすがに着陸前の揺れと気圧変化では泣いたが)。しかしカゴは狭いので、長くいるとご機嫌が悪くなる。結局大半の時間はAちゃんの膝の上で過ごしたと思う。ちなみに機内の狭いトイレでオムツを替えるのは、もっぱらパパの役割 :-)

空港に着くとAちゃんのお姉さんが“大型車”で迎えに来てくれていた。荷物を積み込み、45分走って無事お姉さん宅に到着!

赤ちゃんと一緒の旅はいろいろと大変だが、移動自体がチャレンジングなだけにその工程を楽しめるという点でただの移動と異なり、また途中赤ちゃんのくったくない笑顔に癒され、なかなか楽しく充実感がある

次回は台北での赤ちゃんとの生活について書いてみたい。

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