アジアン・ビューティー
今年に入って、時の流れが一段と早くなった気がする。
いろいろやりたいことがたくさんあるのに時間的に十分に手が回らず、忸怩たる思いをすることが多い。
そんな中、もう1週間以上も前の、あるパーティーの話を書こう。
場所はポーランドの奥深い田舎町。友人たちが慈善パーティーに誘ってくれたので、ポーランドが初めてのAちゃんを連れて意気揚々と行ってきたのだ。
慈善パーティーというのはアメリカなんかでは社会によく根付いているようだけど、西欧ではそれほどさかんとは言えないし、俺もいままで一度も参加したことがなかった。
しかし、驚くことに(!?)ポーランドの田舎町では実に完成度の高いしっかりしたチャリティー・パーティーが行われているのだ。
寄付の対象は町の重病や大怪我をした子供たちであり、社会保険制度や医療制度が西欧や日本ほどに整っていないことから、治療費が十分に払えないという。
今回のイベントではその町や近隣の有名人や企業家、教授、公職者などの有志たちが集まっていた。敬虔なカトリック国のポーランドらしく、教会の神父さん3人も出席しており、彼らの社会的影響力もあってこれだけのイベントが企画できたのだという。
総勢130人の出席者の中で、外人はおろか、その地域出身以外の人は俺とAちゃんだけであり、これはもちろん異例なこと。何もしていないのに、なんと司会者から特別に紹介してもらって、全員の拍手を受けてしまった (*^o^*)
ポーランドというのは、(政治的ではなく)本当の意味での「古きよき欧州」の香りがする場所だ。人口数万人の町のパーティーでも、全員がスーツにタイを締め(知らなかったのは俺だけ。。。)、女性は派手過ぎないシックなドレスだ。
数人を除き全員が夫婦同伴で、「大人のイベント」なので子供は連れてきていない。ポーランド料理は、肉やきのこや野菜のぎょうざ類に、卵スープなど、中華料理に近いものがあって親近感が沸き、俺は大好きだ。
今回のパーティーでは手作り料理のフルコースのあと、一斉に隣のダンスホールへ移動し、これまた優雅な音楽に合わせてカップルで踊るのだが、男性も女性もみな実にダンスがうまい。
そのうち、ある知らないおじさんがAちゃんを誘い出して踊り始めた。ダンスが上手とはとても言えないAちゃんだが、男性リードの踊り方であり、このおじさんがとても上手なので問題ない。
みんなが取り囲んで笑いながら注目する中、恥ずかしそうにでも楽しく踊っていたAちゃんだった。。。でも、このおじさんのうれしそうな顔に注目!
ダンスがひと段落したあとは全員が席に戻り、チャリティー品のオークションが始まる。解説のあと、モデルのような女性が(ちなみに、ポーランドでは決して珍しいルックスではない)チャリティー品を掲げながら会場を回る。
地元のアーティストが作ったデザイン花瓶や絵画などが中心でなかなかきれいだけど、花瓶類は相当な大きさで持ち帰れるものではないからあきらめた。。。
寄付が目的だから、実値が本来いくらかなんて誰も気にせず、ほとんど遊び感覚でせり上げて行く。司会の人も知り合いだが、言っている言葉は数字以外ほとんどわからないけど、みんなが時々ドット笑うので、きっと面白いことを言っているのだろう (^.^)
俺も、ポーランドの英雄絵画(歴史上の救国の英雄たちを絵にしたもので、若い画家でも今でもそういう作品を作っている)を買い上げて、またまた喝采を浴びてしまった。
俺たちは疲れて深夜前に退場したけれど、今回のチャリティーでは合計 14,000ズロチ(約55万円)の売上があったらしい。しかも、オークション品が一巡した時点で10,000ズロチに微妙に足りなかったので、じゃあ全部やり直そうということで全員が作品類を返品し、もう一度初めからやり直したんやったんだってさ。いい話だよねえ~
これで約1年分の医療費をまかなえそうという話だ。絶対金額としてはたいしたことがないように見えるが、みんなの気持ちを一つにしたという事実は大切なことだと思う。
ちなみに、翌日友人たちと会って食事したとき、企画者の女性が言ってたのは、
「みんな、あなたたちの話をしていたよ。あの目がパッチリしてかわいい子は誰? なんてきれいなのかしら、ってもちきりでさあ。 あの連れの男性は幸せだね、だってさ。」
ハハハ。。。アジア人など全く見かけない地域とはいえ、Aちゃんがここまでポーランド人に人気が出るとは。。。
まさしく、アジアン・ビューティーの扱いだけど、これを聞いたAちゃんは、またも恥ずかしそうにはにかんでいたのであった (^ ^;)ゞ
最近のコメント