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台北の赤ちゃん環境

10回以上は行って慣れているはずの台北だけれども、赤ちゃんと一緒に日々を過ごすとまた別の視点から物事が見えてくる。

台北は人口260万人程度の都市(郊外含めると600万人)であり、大都会ではあるが東京・パリ・ロンドンなどと比べると小さいし、混雑具合もそれほどすごくはない。それでも、赤ちゃんが過ごす環境としては決していいとは思えない

赤ちゃんは一日に何度もミルクを飲み、何度も寝て、何度もおむつの交換が必要である。生後4-5ヶ月という年頃はある程度日常のリズムが確立する時期であり、起床と就寝はほぼ定時になってくる。うちの娘は朝は7時半~8時に起きて、夜は8時前に眠ってしまう。午前中は布団の上などで寝返り練習などある程度運動もさせたいし、湿度の高いアジアでは少なくとも1日おきには入浴もさせる。

うちらが泊まっている場所はお姉さん宅で、新店と言って台北の南の近郊住宅地の高層アパート(13階)だ。赤ちゃんのリズムに合わせて外出しようとすると、いろいろやっていると午後になってしまう

他にもお姉さんの子供がいるので、いろいろ手間を考えると外出手段は自家用車しかない。エレベーターで地下の駐車場に下り、子供たちを車に乗せて30-40分ほど走り台北中心部に到着。そこのデパートか何かの地下駐車場に停車し、ベビーカーを引っ張り出して組み立て、あとはデパート内の売り場やレストラン街で時間を過ごし、また車で移動する。

おわかりだろうか。“お出かけ”しているにも関わらず、赤ちゃんが全く外気に触れていないのだ! デパート内は人工の照明がともり、人工の換気がされており、窓すらないのが一般的。あとは地下駐車場と車の中だけ。赤ちゃんだからどうせ何もわからないだろうというのは間違いで、これを長期続けたら、心身ともに健康な子供が育つかどうか不安が残る

子供には自然に多く触れさせるのがよいと聞くし、俺も自分の経験からもそうさせたいと思っている。Aちゃんのお姉さんの息子も、車で30分程度かかるが広大な敷地で緑がいっぱいの山の麓の学校までわざわざ通わせている(台北は三方を山に囲まれているので、それは可能だ)。

しかしそういった融通が利くのはある程度の年になってからであり、3才くらいまでは親が日常のほぼ全ての面倒を見るしかない。その中で台北のような場所で生活をしていると、子供が自然に触れる機会はほぼゼロになってしまう

ハイデルベルクでは家を一歩出ると歩行者専用の遊歩道であり、車の排気ガスもなく、両面に迫る山を見ながらおいしい空気をたっぷり味わいながら外を散歩させていたのであるが、台北では残念ながらできない。

食事も若干問題である。台湾では最近ビタミン剤にプラスチックが入っていたことで大騒ぎになっており、また「高級品」であった日本製の粉ミルクからは放射能が検出され、食の安全はぐらついている。

その中でベビーフードは欧州製が売れているが、うちの娘に与えているドイツ製のブランドは売っていない。赤ちゃんは敏感なのでベビーフードを頻繁に換えるわけにはいかない。これがわかっていたので前もってドイツ製ミルクをお姉さん宅に送っておいたのだが、このようにいろいろ気を使わなくてはならない。

Aちゃんと娘はもうすぐ台湾中部の田舎へ移動することになっている。もっと本当の外には出れるだろうが、歩道も線一本だけできちんとしていない所で車に注意しながらベビーカーを押さねばならないし、歩道の段差もすごい

2月に俺も行くので、そのときにまた思ったことを書いてみたい。

家政婦のプライド

うちの娘も生後4ヶ月になり、7時過ぎに寝るという生活リズムが確立してきたので、娘が寝付いてから、Aちゃんと家でビデオなどを見ることも再びできるようになってきた。

最近ネットで見ているのが、日本で話題になっているドラマ「家政婦の三田」。松嶋奈々子の演じる家政婦がホスト家庭の家族から“業務命令”を受けると、単なる家事だけではなく、人殺しに到るまで何でも言われるままに実行しまうというストーリーだ。

ストーリーの中で、彼女がなぜ家政婦になったのか? という疑問には、「私は愛する家族を全て失って自分で判断することへの自信を喪失したので、単に命令されることだけを機械的にやればいい家政婦になることにした。」と答えている。

このドラマはもちろんありえない極論なのであるが、基本的には俺も、これまで家政婦に対して似たような考えを持っていた。一般家庭の家事というのはプライベートなことなのだから、理屈がどうであれ決裁権はご主人の独断、とにかくご主人の言うとおりやってもらいたいということだ。

しかしドイツではこの考えは通じなかった。ハイデルベルクの家には週に一度掃除をしてもらいに家政婦に来てもらっていたのだが、今回彼女が辞めてしまったのだ。“正規の職を見つけたから”というのは本当だと思うが、全部の家政婦職を辞したわけではないようだから、辞められてしまったと言っていい。

彼女は50台のセルビア人のおばさんだった。子供が2人いるとのことで、年に2回くらい長期でセルビアに帰る以外は笑顔で仕事をしてくれた。うちの娘が生まれたときも本当に喜んでプレゼントまでもらってしまった。それだけに辞めてしまったのは本当に残念なのだ。

実は、このおばさんとは、たいしたことがないようで見逃せない、2つの“カルチャーギャップ”たる確執があった。

1つは、床の拭き掃除をする際に使うモップ。汚れたモップを自動洗濯機で洗わせて欲しいと何度もお願いされていたのを、俺たちは頑なに拒否していた。赤ちゃんのものを含めて衣類を洗う場所で、床を拭いたモップは洗えないからだ。彼女いわく、“どの家庭でもそうしている”とのことだが、“とにかくうちはダメなので、外で洗ってほしい”と言ったのだ。

夏の間は庭の水道でモップを洗っていてもらったのだが、寒くなってきたのできついと彼女から申し出があった。そこで俺は使い捨てのモップを買い、これを使うようにと指示した

しかしもう10月の風が吹くころ、彼女が同じ質問をしてきた。なんと、寒くなってきたのでモップを自宅に持ち帰り、洗って再び持ってきていたのだという。だから何とか自動洗濯機で・・・という話した。使い捨てモップは、結局使っていなかった。彼女いわく、それでは汚れがあまり落ちないからという。とにかく言ったとおりやってくれりゃいいだけなのだが、彼女はそれがどうしてもできない

2つめは、彼女がソファーやたんすの下などをきちんと掃除していないことが多かったことである。何度も注意したのだが、その度に「それはきちんと掃除しています」とか、「ちゃんと考えて、2-3回に一度ずつは掃除しています」という回答だった。申し訳ないという回答こそ期待していないものの、あくまで自分が正しいのだと信じているこの態度は、“家政婦”としてはちょっと違和感を覚えた

ドイツの一般家庭ではうちほどモノが多いわけじゃなく、家具の種類ももっと少なくすっきりしていることが通常である。だから、うちの掃除を「主人が望むやり方で」やることは面倒だし、きっとやりたくなかったのであろう。

振り返って考えると、「家政婦にも自分のやり方とプライドがある」ということを、彼女は辞めることで示したのかもしれない。少なくとも、「家政婦は主人の言うことに黙って従う」という世界はここには存在しない。

「家政婦の三田」の欧州版が現れることは、当分なさそうだ :-)

ドイツで出産する(3): 病院出産

ハイデルベルクの病院出産で不安なことは、「部屋(ベット)が事前に確保されていない」ことである。

日本や台湾では出産予定の数ヶ月前に生む病院を決めて”予約”することができるようだが、ハイデルベルクの病院は予約を受け付けないのだ。

・・・ということは、産気づいて病院に駆けつけても入院できないということがあるのか!? というと、それはめったに起きないらしい。病院はなかなか賑わっているが、全室が一杯になることはないのだろう。

うちらは午前3時に駆けつけて入院したのだけど、その場で手続をして、「ファミリー・ルーム」に案内された。ドイツの病院では差額料金を払えば、家族も寝泊りできるツインベットの個室に入ることができる(個人保険があれば差額は一日わずか5000円程度)。

たまたまそこが空いていたらしいということで案内された”スイート・ファミリー・ルーム”は20畳くらいもあって非常に広々としており、シャワーやトイレもついていた。その辺のホテルよりもずっと快適だ 笑 

今回はAちゃんのお母さんとお姉さんも応援に来てくれていたので、俺は病院に一緒に寝泊りし、毎朝晩車で家まで2人を送り迎えするという生活を、1週間続けたのであった。

この病院は食事もよかった。ドイツだから夕食はやっぱりコールド・ミールだけれども、昼食の肉やポテト、スープはなかなかおいしい。ベルリンの病院食に比べるとずっといい。

毎日2人分無料で運ばれてくるが、お母さんとお姉さんがお粥や鳥スープなど台湾料理を作ってきてくれることもある。また、昼間は近くに売店がないので、持ち帰りのタイ料理やハンバーガーなどを毎日車で買いに行った。

入院できたということで、まずはひと安心! しかし、ここは実際はホテルじゃない・・・ 部屋には、医者・看護婦さん・助産婦さんが次々とやってくるし、出産までは2時間おきにエコグラフィーを取るため診察室に行かなくてはならないので、なかなか忙しい。

この病院では、36週目以降出産するまで脚の針治療をしてくれる。妊婦さんは脚に負担がかかりむくんでしまうので、20分くらい針を刺すだけでもだいぶ楽になるようだ。

病院ではいろいろな人にお世話になったわけだけれども、誰もが誇りと自覚と責任を持って仕事をしていることが伝わってくる。辛抱強く、かつ、笑顔を絶やさない。産婦人科勤務という、肉体的にも精神的にも大変な仕事だ。本当に頭が下がる。

助産婦は時間帯により3交代で勤務しているので、入院中は計6-7人くらいにお世話になった。ほとんどの人が英語を話せるけれど、たまたまAちゃんが出産した早朝に夜勤だった助産婦さんは英語皆無だったから、とても冷静になれる状況じゃない中、アテンドしていた俺が頑張って通訳した。その間に担当医(女性)が電話一本で駆けつけてきてくれて、ちゃんと間に合った!

赤ちゃんが生まれてからは、小児科医(通常は自分のクリニック勤務)が数日おきにやってきて検査してくれる。ドイツでは遺伝病などの検査が生後3日以内に義務付けられており、赤ちゃんの足の裏から血液を採取して検査センターに送る。

生まれた赤ちゃんは、車輪と木製の囲いがついた移動式のベットに寝かせ、夜は自分のベッドの近くに寄せたりすることができる。検査や食事などで部屋から連れ出すときは、移動式ベットを押しながらとなる。

観察すると、赤ちゃんベット押しているのはほとんどお父さんであり、その顔は喜びに満ち溢れている。えっ、俺の場合ははどうだったかって!? それは、言うまでもないなあ~ 笑

こうして出産後5日目で無事に退院し、なつかしの我が家へ戻ったのであった。

また機会があれば、新米パパ・ママの新生活のことに触れてみたい。

子育てに1年間専業した営業マン

先般、営業社員の面接をしている中で、なかなか気骨のある候補者に出会った。ドイツ人男性で36歳、離婚経験者である。

計5社程度の転職歴があり、それぞれの会社で担当エリアの売り上げを50%~80%伸ばしてきたなどの点は、やり手ではあるけど、まあ特別なことでもない。

履歴書で目を引いたのは、”息子のケアと準備のため”、丸1年間キャリアを中断したと書かれていた部分であった。

通り一遍の会社説明や自己紹介を終えた後、俺はすかさずその気になる部分を質問してみた。

「息子のためにキャリア中断とあるけど、差し支えなければ、どのような経緯か教えていただけますか?」

「実はそのとき、前の妻と離婚したのです。その後息子が学校でいろいろと問題を起こしました。そこで私は思い切って仕事を辞め、息子の世話に専念することにしました。」

両親が離婚すると、子供にトラウマなどいろいろと心理的に負担がかかるというし、実際にそのような例を見てきたけれど、彼の場合も同様だったのだろう。

しかも彼は別な女性と同居を始め、お互いに自分の子供を”連れ子”で連れてきた。ドイツでは非常によくあるパターンであるが、子供にとっては生活環境が激変してしまうことになる。

いろいろ問題を抱える息子を見た彼は、現職を辞めてでも子育てに専念することを決めた。学校へは毎日一緒へ行き、自転車に毎日一緒に乗ってあげるなど、徹底的にケアしてあげた。

そうしたらある日その息子が、「パパありがとう。でも、パパは働かないとね!」 っと言ってくれた。この優しい言葉を聞いた彼は、子供の精神状態が改善したと判断し、次の仕事を探してまたバリバリの営業マンに戻っていたという。

営業スキル・製品知識・顧客へのコネクションなど面接の中心となる話題に関係なさそうな、こういう側面にこそ、本人の人間性がよく表れる。

会社員、しかも営業マンのようなバリバリの仕事をする人(男性)は、キャリアを1年間もあえて中断して子供の世話に集中するようなことは少ない

欧州では若い男性でも週4日勤務をあえて選択したり、数週間の育児休暇を取ったりすることはあるし、不景気時に1年間くらい失業して仕事探しをする人も多い。

でも、人並み以上のキャリアがある男性が突然1年間も子育てに集中するという例は、俺は聞いたことがなかった。

このような決定をする、ないしできるということは、すごいことだと思う。社会通念に捕らわれず、自分を取り巻く客観的な状況を見極めて取れるリスクを取り、行動しただけなんだけど、現代社会でこれがきちんとできている人はあまりに少ないからだ。

この候補者、我々の想定よりもハイスペックすぎて残念ながら採用にはならなかったけれど、意思の強さと優しさを兼ね備えた表情がとても印象に残った人物であった。

ベルリンの保育園事情

うちのアパートのすぐ裏は保育園であり、特に午前中はいつも元気な子供の声が響いてくる。

普段は縁がない場所なのだが、度々登場するAちゃんの友達で近所に住むYさんの子供Nちゃんを通して、俺もベルリンの保育園事情に触れることになった。

まず概論から…

多くの国と同様にドイツでは託児所不足が深刻な問題になっている。ドイツの女性へのアンケートでは「保育園が足りないから働けない」という理由が圧倒的に多い。ドイツの出生率の低さは保育園にありというわけだ。

女性のメルケル首相になってからは、10年以内に託児所を3倍に増やすとかという目標を掲げたので、概して評判がいいようだ。

保育所が足りないから出生率が低いというのは、つまり、子供を産んだあとでも女性が会社などで働くことが社会的な前提になっているわけである。ドイツは日本などアジアと比べて結婚に対する感覚が違い、男女が付き合ったり子供を産んでもずっと結婚しないことも多い。

これは俺の意見では、いろいろな社会制度や考え方が結婚の有無に左右されない形になっていること、結婚しても税務など実務的なメリットがないことと、ドイツ男性が極力リスクを取ることを嫌うことの3点が大きいのだと思う。

さらには、旧東ドイツでは託児所はほぼ100%完備していたのに対し、特に旧西ドイツでの不足が深刻である。これは、共産主義だった東ドイツでは男女の区別なく全員に国家から職が与えられ、保証されていたからだ。だから今でも旧東ドイツの女性は早婚だし、専業主婦をしている人は極めて少ない。ポーランドやロシアなども東ドイツに似た状況・感覚だ。

託児所が完備しているほど「先進的」と定義するなら、旧東ドイツの方が進んでいたことになる。今どき、建設・運営費用面を除いて、託児所を増やすこと自体に表立って反対する人は少ない。

でも、よく考えたい。人類史で託児所がこれだけあってかつ足りないと言われた時代はなかったのではないか。もともと、大家族や村落などがきちんと機能していれば託児所などなくても十分間に合っていたわけだから。

託児所がこれだけ切望されている、託児所がないと子供を産みませんよというロジックが社会全体でできあがっているということは、裏を返せば、家族の本来機能が低下して子供の面倒を見たり基礎教育することをアウトソースせざるをえなくなった、つまり『家族が機能崩壊』しているということである。だから、俺は託児所をただ増やせという『目先』の論理にはあまり賛同できない。

さて、ベルリンは旧東西ドイツ両方にまたがっているから、その中間くらいの状況だ。つまり旧西独ほど切迫していないけれど、旧東独よりは不足がちってこと。特に都心部は不足しているので、3歳児以上の子供を優先するようになっているようだ。

ところが、働く女性が一番恐れるのは「キャリア中断が長引く」ことなので、実際彼らは1年~1年半の産休を取って職場復帰したい。その時に1歳児を託児所に預けようとすると、これが一筋縄ではいかないので、どうやって入り込むからキーポイントになっている。

うちの会社でも例があったのだが、例えば出産後1年間で職場復帰したい母親なら、「XXさんは1年後に復帰して週25時間働きます」といった雇用契約書を少なくとも半年前に作成してそれを当局に見せれば、託児所を割り当ててもらえる確率が高まる。

でも、小さな子供のいる母親をパートタイムで、しかも半年後に雇い入れたい会社なんて存在しないから、その場合は辞める前の会社に復帰することが法律上保証されていることを利用する。会社は単に「ネタに使われているだけ」で納得いかない規程だけど、解雇すると違法なので、同意するしかない。

前置きが長くなったけど、2ヶ月前ほどのある日、Yさん(専業主婦)が、

「ずっと申し込んでいてダメだと思っていたんだけど、(うちの裏の)託児所がNちゃん(生後10ヶ月)を受け入れるという通知が来たの! びっくり!」

と興奮気味に語っていた。書面を見ると、詳細を教えたいので面談に来てくれとある。

Yさんはドイツ語がうまくないので、何度か俺が一緒について行ってきたのだが、先生はみな親切そうであり、1クラスあたり子供は8人までで、丁寧にやっているようで、園長もしっかりしていて評判の保育所なようだった。

園長の話では、家庭でドイツ語を話さない児童が40%を超えると先生が増員されるため、なんとか達成したいとのことであった。Yさんの家ではフランス語・中国語なため、うまく目に留まって(専業主婦にもかかわらず)受け入れてもらえたのだろう。

とにかく、めでたしめでたし~ (V^-°)

ところが、そこからが難関だった。Yさんが同意して、必要書類(夫の税務申告など)を提出したところ、園長から俺に、やたら興奮した電話がかかってきた。

「Yさんの旦那さんって、アーティストなんですよね。こんなに稼いでるなんて信じられない! 本当なのですか?? だって、アーティストなんでしょ?? これだと月謝が最高額になってしまいますよ。本当にいいんですか??」

…察するに、ベルリンでは、アーティスト=貧乏人という固定観念があるようだ。あのねえ、パリではそうじゃないんですけど。。。っていうか、もっと言えば、お金がないアーティストがベルリンに集まってくる傾向があるだけなんですけど。。。

適当に園長をなだめて、それでOKですと伝えると手続きをしたようで、2週間後、Yさんに役所から手紙が届いた。

それを読むと、なんと「Yさんが求職中であること、さらに旦那さんの営業証明書を提出せよ」。

Yさんが子供を預けたいのは他の子供と一緒に遊ぶのが子供のためにいいからであり、外国人でもあるし、そのために職安に行くのは大変だ。それに、アーティストに営業証明書なんてない。

最終的には根回しして、役所の「偉い人」の判断でそれら手続を回避でき、なんとか9月1日から入園できる許可をもらった

入園数日前に、俺は「入園前面談」のため、YさんとNちゃんと一緒に一応通訳としてその保育所に行ってきた。

保育所は清潔で、屋内とベランダの遊び場、それに食事室があり、子供の成長に合わせてしっかり指導しているようであり、先生も頼りがいのありそうな人たちだった。Nちゃんはさっそく目を輝かせて、その辺のおもちゃで遊びはじめる (^u^)

1歳児クラスは、ドイツらしく順序良く毎日1名の子供が入園してくるようにスケジューリングされているみたい。

一通り話を聞いて、いざ入園日の話になると、先生が、

「えっ 入園日ですか? 私は9月1日と聞いていますけど、あなたの契約書には何て書いてありますか?

ハアっ ちょっと、ため息。

幼稚園入園にも、契約書の文言に従う。その「契約書」とやらは、役所から送られてきて、そこに入園日が「通知」されているのだ。これが、ドイツの官僚主義だ。

何も知らないNちゃんは、今週から通園を始めたみたいだけど、元気にやってるかなあ~

育児と会社

今、会社で、はやっていることがある。

それはなんと。。。子供を産むこと w(@。@;)w

妊娠し、育児休暇を取り、出産し、全部で1年半くらい休んでから復職するということである。欧州ではごく一般的であり、日本のように妊娠したからといって辞める人など、ほとんどいない。

それにしても。。。女性社員が5人しかいないのに、しかも事業開始から1年半しかたってないのに、既に2人も対象者が出ているというのは、ドイツ人に聞いても、

かなりヒット率が高い

と、驚かれる (^◇^ ;)

最初の一人は既に出産し、生後8ヶ月の赤ちゃんを連れて会社にやってきて、みんなでケーキを囲んでささやかにお祝いした。もう一人は3月から産休予定だ。

もちろん、おめでたいことだから祝福したい。でも、中小会社の経営にとっては、当然痛い。

人の採用には時間がかかり、人材会社等の費用もかかる。さらには、かれらに仕事を割り振り、教え、仕事に慣れてきて、業務が流れるようになってきた7~8ヶ月後に「カミングアウト」されると、もう言葉を失ってしまう。

意外とやっかいなのは、社員の地位のまま1年半会社を離れるという事実だ。

その間、社員なのだから、給料も源泉税や社会保険料も払い続けなければならない。保険会社が補填してくれるが、会社の社員名簿や給与台帳にも載ったままであり、事務負担は残る。

そして、彼らが戻りたいときに(=戻れるときに)同条件で復職する権利が、法律で保証されている。だから、その予想される欠勤期間は、誰か他の人を期限付で採用するしかない。しかし、期限付だと、よい人材が見つかりにくく、またまた引き継ぐことになるので、仕事の効率は確実に落ちる。

さらには、大半の人は、復職後はパートタイム勤務を希望する。これを受け入れなければならず、そうすると週に3日とか、毎日午後3時までとか、すごく中途半端になってしまい、正直まともに責任を持って仕事ができる体制とは言いがたくなる。そうすると、別な人をさらにパートタイムで採用する必要が出てきて、ますます混乱する。

ちょっときつい言い方だけど、パートタイムというのは、「会社から見ると」本当に非効率だ。週40時間を1人でこなす代わりに、2人採用して週20時間とし給料を半分ずつにした場合、100だった業務効率は合計でも70~80くらいになる。1足す1は2じゃなくて、1.7くらいだ。2人の間でコミュニケーションする時間、2人が毎日通勤する時間、2人に業務を教える時間、2人の休暇を調整する時間、2人分の給与計算に要する時間、2人分の席。。。数え切れない。

まあ、若い女性!?ばかり採用してきたのが悪いんだと言われたら、何も反論できないんだけど、まさかこんな状況になるとは。。。 (^-^; 

ドイツでは産休中の給料は、最後の給料の70%くらいもらえる制度らしい。だから、カミングアウト時にそれなりの給料を出す会社に在籍しているかどうかが経済的に最重要なことなのだ。

ぶっちゃけ、子供を作りたいと思ったら、まずは就職する、ないし、より給料の高い会社に転職するのが断然有利だってこと。会社という箱を、うまく利用するのだ。

採用時に、妊娠しているかという質問をすることは禁じられているし、妊娠を「準備中」であるかどうかなんて、本人たち以外に絶対わからない。ドイツでは子供を作るのに結婚の有無も関係ない。さらには、カミングアウト以降に解雇することは、どんな理由でも違法となる。

従業員への保護は非常に厚く、会社側がノーガードでリスクを負う形になっているってわけ。

俺もいろいろ考えたんだけど、やっぱりこの状況は苦しいし、アンフェアだ。

子供を作ることが喜びであり社会から経済的・精神的サポートが得られる世の中にしなければいけない、ってことについては全面的に賛成だ。会社だって、社会の構成員なんだから、当然、一翼を担うべきだろう。子供を作っても働き続けたい、という希望も理解できるし、それができる環境であるべきだ。

問題は、その働き続ける「形態」についての考え方や縛りが、旧態依然として非常に硬直的で、しかもその議論がタブー視されていることだ。

ドイツ人は日本以上に起業意識の低い国民性で、低リスク中リターンの従業員形態が大好きだ。従業員は法律で硬く保護され、労働裁判をすればほとんど従業員側の勝利に終わる。この従業員保護の規程を、「働く女性の権利拡大」に合わせて法制化すると、今のような理不尽な結末になる。この手厚い保護が、リスクを取ってまで起業する気を失わせる一因になる。会社経営者としても、正規従業員に「年頃の女性」を雇用する意欲が減退する。

これは、正しい方向ではないだろう。

世の中、生き方が多様化してきているのだから、妊娠中や出産後についても、別に従業員じゃなくて、フリーランス(プロジェクトごとの契約形態)でも仕事ができるように、なぜできないのか。それなら、1人が複数の会社と契約しても構わないし、会社に毎日いる必要もない。解雇するとかされるとかの問題も、そもそも生じない。社会保険料も安く上がる。

そもそも従業員という、収入は安定しても運用が硬直した制度は、例外があるにせよ、定時から定時まで会社内で「拘束する」ことを大前提にしている。だから、仕事内容によっては、出産・育児といったニーズには必ずしも適していないと思う。

従業員だからと言って、絶対に一生安泰という時代じゃない。大会社の製造ラインみたいな究極的に保護されてる場所では、数年間のTarifvertrag(賃金協定)があるのが普通だが、それでも事業ごと外国の会社に売りに出されれば、最後の抵抗をしたあと、みじめに解雇されていく。そんな時に得するのは、最後まで解雇反対に座り込んだ人じゃなくて、何か他社でも使えるスキルのある人だ。世の中のゲームのルールは、とっくに変わっているのだ。

本当に子供に優しい社会を作りたかったら、「今の世の中を前提に」、子供を作りたい女性を擁護するべきだ。それは、その時偶然に在籍している会社で従業員の地位を保護することではなくて、会社にとらわれず、一生かけて「使える」経験とキャリアを柔軟に吸収できるような仕組みだろう。

ドイツ人は、自国に「法律」と「安定的な制度」があれば何でも機能すると思っている人が多いけど、もう実際はそうはいかない。

いつか、わかってくれれば。。。と願う。

パリで子育て

パリで子育てをする

この大都市で簡単なことではないと思うけど、『パリの女は産んでいる』(中島さおり)って本が日本でも出ているくらい、現実には活発だ。

それを、ほんのちょっとだけ実体験する機会が最近あった。

Aちゃんの親友で台湾人のYさんが、8週間前に女の子を生んだのだ 。o@(・_・)@o。

Yさんはフランス人で芸術家の旦那さんと結婚していて、ベルリンとパリに家を持っており、ベルリンの家は俺たちの家から徒歩2分のところにあるのでよく親交がある。

ベルリンで出産後、ここ数カ月は旦那さんの仕事で2人ともパリにいるのだが、旦那さんは展示会で1週間出張している。ベビーシッターは平日の日中いるものの、心細いし心配なので、Aちゃんにぜひ1週間くらい来てほしいと声がかかったってわけ。

Aちゃんも、パリは買い物等で4日位しか行ったことがないし、かわいいもの・おいしいもの・きれいなものがいっぱいのパリが大好きなので、二つ返事で

「うんうん、行く!! ああ、旦那(=俺のこと)にはあとで教えるから大丈夫だよ!!」

そして俺もお邪魔虫で3日間だけベルリンから飛んでジョインしたってわけ。

さて、着いてまずびっくりしたのは、その素晴らしい新居 w(°o°)w

市内中心部の新興繁華街でカフェや店がひしめくLe Marais(マレ地区)にある、17世紀の壮麗な建物で、優雅な螺旋階段を上がっていったところの日本で言う3階。

広さは180平米くらいもあり、1つの部屋は台湾風にアレンジされている。天井は4メートルもあり、ベルリンとはわけが違う。パリは市街全体で建物の造りや景観が保護され続けてきているので、周りの美しい建物上部が各窓から見渡せるのだ。

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Dsc_0127Dsc_0031Dsc_0122これを購入したっていうけど、億単位の投資であるのは間違いない。

あまりの美しさにしばらく言葉が出なかった。。。

着いたのは土曜夜だったので、Yさんはその日は一人で、初めての子供の世話と不安で夜も寝つけない状態だったけど、俺たちと話してだいぶ心なごんだようだ。

たとえ数日でも、コミュニケーションも取れない赤ちゃんと二人きりというのは、ものすごく不安なことだという。Dsc_0132

翌日は、Aちゃんと俺だけで、ハーフの赤ちゃんを散歩に連れ出した

パリは20度の快晴 (-^〇^-)

家からすぐ近くにある、パリにしては大きめの公園Place de Vosgneに行くと、予想通りものすごい人出。芝生に足の隙間もないほどの人が寝っ転がったりしている。

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Dsc_0090Dsc_0091そのとき、赤ちゃんがしゃっくりを始めて止まらなくなったので、若干あせってYさんに電話したけど、それ以外は順調順調! 

この子は動いているのに乗っているのが大好きなようで、立ち止まると、ベビーカーを内側から蹴って「進んで!揺らして!」とメッセージを送る。なんか偉い王子様のようだけど、会話できないからなあ~ (^.^)

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付近はどこへ行っても人が多く、若い人が圧倒的に多いけど、それでも狭い通りには意外なほどにベビーカーが多い。押しているのはみんな父親だ。みんな頑張っているなあって思ったよ。 

おいしいエクレアにバゲットを頬張りながら、パリの子育て生活体験した3日間もあっという間。

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お母さん、これからも頑張って! !( ^o^)ノ"☆

里帰り!?

2006_0219bxl200220060007_1 昨日の続き・・・

日曜朝、ゆ~っくり11時間寝てから、ブリュッセルで目覚める。

元彼女と簡単に食事して、11時から市内中心部で映画(”Seven Swords”っていう、バトル系の北京映画)を見た。

これがまた、3時間以上もかかってやがるんだよな。俺は、映画ファンではない。なぜかというと、単純に、時間を食いすぎるから。俺は忙しいんだから、サマリーなら見てあげてもいいけど・・・ って感じ (^.^;

特に、2時間以上経過すると、内容関係なく絶対にいらついてくる

最初に会う予定だった、フランス人男とスペイン人女性の夫婦の友達が、何回も電話してくるから、ますます。

うううっ 俺は、1対1のコンタクトの方が大事なんだ。映画なんていつでも見れるし ヘ(´o`)ヘ

とまあ、1時間遅れで、二人で走ってレストランに着き、それでも2時間くらい一緒に食事。凝縮バージョンだけど、お互い久しぶりだし、でもあっという間。彼らも次のアポに消えていく。

俺は、元彼女と別れて、地下鉄でかなり遠い場所に家を買って住んでいる、ロシア人男性とスペイン人女性+双子の男の子の夫婦に会いに行く。

子供がいると外に出て来にくいしね。

こういうとき、俺はためらわずこっちから出掛けていく。滞在が短時間でも、向こうはひときわうれしいもんなんだよね~ (^ー^* )

この双子は、会うのは3回目だけど、とってもかわいい(写真)。もう3才で、会うたびに大きくなる。俺にはとてもなついていて、いろいろボールとかで遊んであげる。

1時間して、お別れ。

今度は街の反対側に住んでる、フランス人男性とベルギー人女性の夫婦+2才の女の子に会いに行く。

その子は寝ていたけど、二人とは久しぶりにいろいろおしゃべり (^o^)/

夜10時、車で中心部まで送ってもらって、元彼女とまた合流。元彼女の妹も来て、なぜかアイリッシュ・パブでカラオケしてから、タクシーで元彼女の家に3人で戻る。この妹も、ルクセンブルク人男性と付き合ってる。

俺のブリュッセルの友達は、みんな極めて国際派 (^v^)

3人で午前1時半までおしゃべりして、ぐったりして寝たけど、翌日起床は7時前・・・

一緒に家を出て、元彼女とお別れして、俺は空港に向かった。

すごい駆け足の「里帰り」だったけど、いっぱいの思い出を胸にベルリンに飛び立ったよ。

ちなみに、搭乗前にフランクフルトの弁護士(俺の元同僚で友人)に仕事の件で電話したんだけど、会話の終わりに、

「Gute Heimreise! (よい里帰りを!)」

って言われた。

なんだか、とっても新鮮でうれしかった。

・・・・そっか、俺はベルリン人になったんだね ∠(^ε^)

最年少ファン

先日、なかなか会えなかった大学サークル時代の友人に会いに行ってきた。

共通の友人夫婦と一緒に、その家族を訪問したんだけど、そこには2歳くらいのかわいい女の子がいるんだよね。おかっぱ頭で、髪がふさふさ! 俺がお絵描きとか一緒に遊んであげると、ずいぶんなついてきた。

「これからお父さん(パパとは呼ばせないらしい)、描くね!」
「じゃあ、きのこを描いてあげるね!」

なんて前書きで、描き始める絵は、なぜかどれもほとんど同じに見える(^^;)ゞ   

こうして遊んでいると、一緒に訪問した友人が、

「(俺が)子供と遊んでいるのが似合わない」、なんてつかぬことを言う。

でも、はっきり言っていい??? 彼いいやつだが、(これに関しては)俺の真の姿をぜ~んぜんわかっちゃいな~い!!!

俺は、こう見えても小さい子が大好き。しかも、自慢じゃないけど、結構子供から!?人気があるみたい ヽ(^。^)丿

中でも、うちの近辺在住の、Mちゃんというフランス人(夫、俺の友達)と日本人のハーフの2歳の女の子は、俺の最年少ファン・・・だと思う (#^.^#)

Mちゃんは、以前俺の家に遊びに来たとき、家にあったパンダの親子ぬいぐるみを見るなり、「あっ パンダだー!」 っと言って、あげると早速遊びはじめた。

あまりに仕草が可愛いもんで、本場上海で5年前に300円で買った電動パンダ達を、Mちゃんについあげちゃったのだ (^.^)

そのあと、Mちゃんの家に遊びに行くと、俺を「こんちゃん! こんちゃん!」 って慕ってくれる。

家に放置されていたパンダを俺が見つけて、

俺: 「Mちゃん、これ、だ~れのパンダ?」

Mちゃん: 「こんちゃんの~~~!!」

って感じ。かっわいい~!!

そんな直後、Mちゃんの声が。

「こんちゃ~ん、みてぇぇ~!  こんちゃ~ん、みてぇぇ~! 」

振り向くと、なんとMちゃんが下半身裸で、白鳥の室内便器に乗って、これからあれをしようとしているではないか!!

ほんと、天真爛漫って感じ。

なんだかすっごくほんわかな気分になった、日曜の昼下がりだったよ (^っ^)

2018年10月
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